お米大好きの私が「おにぎり食べたい!」と暴れた話ではない。

ある日の日常の一コマである。

もしかしたら、どこかの家でも、日々似たようなことが起きているかもしれないと思い、ここに書いてみることにした。 


*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
 

それは、実家に泊まったある夜のこと。

翌朝早く出かける私は、朝ごはんを新幹線の中で食べようと、晩の残りごはんでおにぎりを握った。

横で片づけをしていた母と、「おにぎりがぶかっこう。」だ、「ふりかけがまんべんなくかかってない。」だのと笑いながら楽しい時間を過ごした。

* *

翌朝、おにぎりを温めようとしたところ。

少し早く起きていた母が、おにぎりをアルミホイルに包んでおいてくれた。

「わー、ありがとう。」と、喜ぶ私。

出かける間際に、母が言う。
「今朝炊いたごはんで握りなおしておいたから。」

そこでも、「わー、ありがとう。」と喜べたらよかったのだが…。
そのおにぎりをきっかけに、心の中で騒動が勃発したのだ。

* *

母、「今朝炊いたごはんで握りなおしておいたから。」

私、「え!」(絶句)

…そういう手間をかけさせたくないから、ゆうべ握っておいたのに。

「私が握ったおにぎりは?」と聞くと。

母は「お昼にチャーハンにして食べる。」と言う。

…ふりかけごはんをチャーハンにする?
 だったら、ゆうべ私が何もしない方が良かったじゃない。
 白いごはんなら、好きに食べられたのに。

申し訳なさと、虚しさと、やりきれなさと、少しのイカリ。


そして、こんなこと、母との間に今までもいっぱいあったなぁと思う。

母の悪気ない「あなたのために」の善意が、なぜかモヤモヤになる。

しばらく、昔から感じてきた気持ちが戻ってくる。

* *

私が「しなくていいよ。」って言っているのに、「やっておいたから。」と言う母。

申し訳ない気持ちが先に立ち、私の意志と違う結果に喜べない私。

それでもって、「いつもやってくれるから、頼まなくてもやってくれるだろう。」と思うことは、「あら、そうだったの。」と華麗にスルーする母。

で、「言ってくれればよかったのに。」とお小言を賜る、とか。

なんでこんなに意思疎通がうまくいかないんだろうと、がっかりすること度々。

私のことを大事に思ってくれていることは伝わるけれど、二人のピントが合わないもどかしさ。

そんなことがあったなぁ〜と、遠く思い出す。

* *

「炊き立てご飯のおにぎりを食べさせたい。」と思ってくれる母がいるありがたみ。
それは充分に感じている。けれど…。

娘の勝手で、悪い言い方をすれば、私の善意は汲み取られることはなく、母の善意を押しつけられた感とでもいおうか…母の善意だけを素直には喜べない気持ちがどこかでくすぶっている。

おそらく、母を大事に思う私の気持ちが、母にはなかなか届かない「さみしさ」のようなものがあるのだろう。

ようするに、母への片思いみたいなもの。

たぶん、こういう気持ちの小さなすれ違いは、いろんな家庭で日常的に起きていること。
こういうところで、人は「わかってもらえない。」って感じたりするんだろうなぁ。
(↑ ここまでくるとなぜか他人事になっている

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ちょいと昔の気持ちを思い出した後、今の私はこう思いなおす。

そういえば、ゆうべ。
母は「朝ごはん作ろうか?」と聞いたが、「朝早いから、いいよ。」と断った私がいた。

よく考えれば、母の善意を先に拒絶していたのは、私の方だった。

母も、娘を思う気持ちの行き場がなくて、さみしい思いをしてきたのではないだろうか。

片思いはお互いさま。
ってことは、実は両思い、なわけだ。
(うっかりノロケてしまった!)

私の方が、母の善意を受け取らず、私の善意を押しつけようとしていたのかもな、とも思う。

娘の私が「じゃあ、お願い。」って、思い切って甘えられたら良かったのかもしれない。

* *

お互い、相手の善意に素直に甘えられない。
まあ、似た者親子だこと

そんなことを思いながら、おにぎりをほおばる。

母が握ったおにぎりは、あったかかった。

   

この記事を書いたのが2016年、ふと読み返したのが2022年4月。

「母の日に何か欲しいものはある?」と聞こうかと思ったが。

毎年、「気にしなくてもいい」もしくは「何でもいい」と言う返事なので。

今年は、母の好きな“はちみつで漬けた梅干”(個包装で大粒のやつ)を、しれっと送る手配をした。

喜んでくれるといいなぁ。



やっていることは、昔と同じかもしれない。

でも、今は「私の気持ちがわかってもらえない」と傷つくことはない。

「私が『してあげたい』と思うからする」とシンプルに思えているから、私の心に穏やかさがある。

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